子どもの片頭痛に気を付けて

片頭痛は親から子供へと遺伝することが多く、母親が片頭痛持ちの場合、子供が女の子でも男の子でも7割以上の確率で遺伝します。子供は自分の症状を明確に伝えることができない。そのため、なかなか「片頭痛持ち」であることがわからないのが難しいところです。

子供の片頭痛では、頭痛を発症する前に次のような症状が出ることが多い。「乗り物酔い」「立ちくらみが多い」「しょっちゅうお腹が痛くなる」「寝言が多い」「寝相が悪い」「落ち着きがなく多動気味」「まぶしさに敏感で苦手」「夜中に突然起きる」などです。においに敏感だったり、ひとつのことに異常に執着する子供もいます。

なぜ、このような症状が見られるのか。

それは、片頭痛持ちとして生まれた子供は、ほかの子供よりも脳が過剰に興奮しやすいから。つまり、上記に挙げたような症状は、脳の興奮症状が原因であるということです。

これらの症状がある子供は、その後成長とともに頭痛を訴えるケースが多いのですが、大人と違って頭痛症状の継続時間は短めで、続いても4時間以内。1~2時間でケロリとすることも。

こういった具合ですから、「もしかして仮病?」と疑う親御さんもいらっしゃるようですが、子供の片頭痛はそういう現れ方をするということを知っておいていただければと思います。女の子の場合は、初潮を迎えると女性ホルモンの変化に合わせて片頭痛が起きる頻度が増えていきます。

けれども、お子さんが片頭痛持ちだからといって嘆く必要はありません。脳が興奮しやすいということは、それだけ敏感な脳の持ち主であるということ。頭の働きが良く、想像力や発想力が豊かなお子さんが多いんですよ。

ただ、お子さんが片頭痛持ちだとわかったなら、大人同様、日常生活でいくつか注意すべきことがあります。この連載でもこれまで「片頭痛持ちの人が気をつけたい生活習慣」をたくさん話していますので参考になさってください。

中でも私が特に注意が必要だと思うのは、携帯電話やタブレットの過剰な使用です。いまは幼い頃から使うことが多いですよね。ブルーライトカットシートを貼ったり、その効果がある眼鏡をかけたりして対応しましょう。長時間使わせないことも重要です。

生活習慣で改善しない場合は、脳の興奮状態を抑えるための薬による治療方法もありますので、お子さんの頭痛症状が気になったら専門医を受診されることをおすすめします。