スマホタブレットなどの目に悪いわけと対処法

スマートフォン(以下、スマホ)を長時間連続して見ていると、目が疲れて見えづらくなりますよね。とはいえ、いまや多くの連絡事項をスマホで行う時代、スマホを使わないわけにはいきません。いかに目に負担をかけないでスマホと付き合うか、折り合いをつけたいところです。著書『眼科医だけが知っている 一生視力を失わない50の習慣』(SB新書)で目を大切にする習慣、簡単なトレーニングなどについて解説している眼科医・平松類さんに、教えてもらいました。

スマホから出る光が目に負担! 長時間、近距離で見るのはNG

まず、なぜスマホが目にダメージを与えるのか、その理由を理解しておきましょう。

「理由は主に2つ。光と、見る時間の長さです。私たちは、太陽や部屋の照明のように光を発するものを直接目で見る機会は少ないですよね。ところがスマホの画面は、タブレットやパソコンと同様、ブルーライトと呼ばれる非常に強い光を発しているにもかかわらず、直接見ています。もちろん、目は一定の光量に耐えられるように作られているわけですが、光の刺激が過剰になるとダメージを受けるのです。

中でもスマホはテレビやパソコンなどと違い、顔から30cm以内の近距離で見る人も多いでしょう。それも、通勤中や夜寝る前などについダラダラと見てしまうと、結果的に長時間、光の刺激に目をさらしていることになります」(平松さん・以下同)

© 8760 by postseven 提供 寝る前の読書はスマホではなく電子書籍専用端末か紙の本にしよう(PhphotoAC

寝床で読書をするならスマホではなく電子書籍専用端末か紙の本を

さらに、就寝時など暗闇の中でスマホを見ると、こんな弊害も。

「暗いところでは、目の瞳孔が開きます。私たちは目に光を取り入れることでものを見ています。暗いところで瞳孔を開くのは、ものを見るためにできるだけ多くの光を取り入れようとしているから。そこで、光の中でも特に強いブルーライトに照らされたら、日中明るい場所でスマホを見る時よりはるかに大量の光が目に入ることになり、ひどいダメージを受けるのです。

また、入眠ホルモンであるメラトニンが分泌されるにはが必要です。にもかかわらず、スマホの強い光の刺激が入ると、メラトニンが十分に分泌されず、寝つきが悪くなり、睡眠の質が低下。それにより、本来は睡眠中に癒されるはずの目の疲れを翌日に持ち越すことになります」

© 8760 by postseven 提供 電子書籍専用のデバイスと、スマホの発光は同じではない(PhphotoAC

電子書籍用デバイスとスマホの発光の違い

もし寝床でスマホを使って本を読んでいる場合、紙の書籍に切り替えるか、それが難しければ、「Kindl Paperwhite」などの専用デバイスを使うといいそうです。

「電子書籍専用のデバイスと、スマホとでは、発光している方向が全く違います。スマホやタブレットは見る人に向かって発光しているのに対し、電子書籍専用デバイスは、夜に紙の書籍を見ている時と同様に、表示されている文字に向かって発光しています。光を直視していませんから、スマホに比べて、目の負担は軽減されます」

画面の明るさを下げて正しい姿勢でスマホを見る

他にも、一工夫するだけで目の負担は大きく変わります。1つは、スマホの画面の明るさを調整すること。

「初期設定で明るさが最大になっている可能性もあるので、中レベル、あるいは中レベルを少し下回る明るさに直すとよいでしょう。中には、夜になると自動的に画面が暗くなったり、ブルーライトを抑えたりするように設定できる機種もあります」

そのうえで、目から30cm以上は距離を置き、離れてみるようにしましょう。見えづらい人は、機会があれば今より大きい画面のスマホを選ぶといいでしょう。

寝そべった状態で見ると目の負担に

スマホを見る角度も大事。寝そべった状態になると自然と上目遣いになりやすいのですが、これも目の負担になります。

© 8760 by postseven 提供 長時間スマホを見る場合は60分以内としよう(PhphotoAC

「上目遣いでものを見ると、下目遣いで見た時の2倍ほど目を大きく見開くことになります。端的に言えば、上目遣いは下目遣いの2倍、目が乾きやすいということです」

時間も意識しましょう。スマホで映画などの動画を見ている人は、連続してスマホを見る場合、「60分位内」にすることです。

「長編映画を2時間、3時間見る人は、60分ほど経ったら一度スマホから目を離して遠くを見るなどして、目を休ませましょう」

以上の注意事項は、タブレットやパソコンのヘビーユーザーにも言えること。強力な光のダメージから目を守るには、必要以上にダラダラとデジタル機器を見ない。特に、ベッドに入ったらスマホは見ないと決める。これが今日からできる最大の予防策です。