日本鍼灸と中国鍼灸の違いについて

鍼灸といっても治療方法は、鍼灸師の違い、対処する病状などで大きく異なってくるわけですが、中国鍼灸か和鍼灸(日本鍼灸)かでも、内容は異なります。

この2つの最大の違いはその治療目的です。

一般的に中国鍼灸は、痛みをはじめとする分かりやすい症状の緩和や、患者の適応を促すことを治療目的としており、それに対して日本鍼灸はといえば、不眠やイライラといったメンタル的な病証の改善を目的とすることも多いです。

刺激の大きさも、中国鍼灸では刺激が強く、患者さん側もしっかりとした刺激を欲する傾向があります。それに比べて日本鍼灸は、おおむね刺激が弱く、病状同様にナイーブでより刺激に敏感な患者さんに適応しています。

そのため使用する鍼にも違いがあります。

中国鍼灸では対処の仕方に応じて、太い鍼、長い鍼、細い鍼、さらには短い鍼といったさまざまな鍼が使用され、施術者が鍼自体を持って皮膚に押し込むようにして刺すイメージとなります。

それに比べて日本鍼灸では比較的細くて軟らかく、しかも弾力が良い鍼を使用しています。太さによって色分けもされるなど日本らしい繊細な工夫が施されており、施術の仕方も、「鍼管」という管の中に鍼を入れ、鍼の頭をトントンとはじくように叩きながら入れていきます。鍼管は、江戸時代より以前に日本の鍼師が考案したと言われています。

鍼灸の本場である中国では、鍼灸は中医学として病気の治療としての役割を確立してきた歴史を持ち、より広範囲に広がっていきました。一方、日本では鍼灸師の数は限られており、少ない刺激でより効果を出すために、道具を工夫し鍼灸の技を磨くなど独特な発展を遂げてきたのでした。

そんな日中両方の鍼灸を、病証に合わせて使い分けることができるいまの私たちは幸せだといえるでしょう。